所長の業績紹介2

所長(加藤義幸)の雑誌論文です。

著書・論文等の名称 発行叉は発表の年月日 発行所・発表雑誌等の名称 概      要
態様別にみた最近の交換事例と特例適用の可否 平成12年5月1日 雑誌「税理」ぎょうせい それぞれが所有している不動産等を等価で物々交換したとき,保有していた資産の経済的効果が同一である場合、キャピタルゲインは実現をしないとみることが交換の経済的効果である。しかし,所得税法を始め税法では,所有権が移転したとき,譲渡と認識するので、交換取引も譲渡とみなされる。この場合、所得の計算上「所得」が発生する場合もあり、「損失」となることもある。等価交換(補足金付交換契約も含む)をしたときに所得税では,一定の要件に該当する場合は所得の計算上「所得がなかったもの」として扱い,法人税では利益(交換差益)が生じた時,差益金相当額を圧縮記帳により帳簿を減額した額を損金に算入でき,課税の繰り延べができる。この規定は所得税では、経済的効果の同一性を認識し課税関係を認識しないで、「譲渡」の除外規定を置いたことを意味する。この規定について具体的事例を検討し、その問題点をみた。
税法上の帳簿について 平成12年11月 税法学
544号
税法上の「帳簿」とは何かについて、所得税法、法人税法、消費税法、電子帳簿保存法等について概括的に論じ、その問題点を指摘した。現在の税法上の帳簿システムは、税目毎に帳簿が制定されているが、税法を適用する納税者はどの税目には、何が法定記載事項かが明確になっていない。そこで本来は、国税通則法に横断的に税務上必要な帳簿システムを制定する必要があることを指摘した。また、税理士法第2条では税理士は税務業務に付随して会計業務ができることとなっているが、税法ででは帳簿作成が義務づけられていることを見ると、本来業務に「帳簿を作成する業務」は当然包含されることを指摘した。
各種加算税の賦課の対象となる消費税等固有の事実 平成12年11月1日 雑誌「税理」ぎょうせい 情報公開法により、法人税・申告所得税等の各種の加算税の取り扱いが公開された。国税に関する各種の加算税の取り扱いは国税通則法の範疇に含まれ、公開された「事務運営指針」の共通な部分は串差しに規定する方がはるかに効率的である。消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の更正等及び加算税の取り扱いについて検討をした。消費税の「事務運営指針」の構成は、(1)消費税等の特殊な場合の更正および修正申告書の扱い、(2)消費税等の加算税の扱いに大きく分かれ、特に、後者の加算税に関しては、T消費税等の加算税の賦課の基本的定義、U過少申告加算税、V無申告加算税、W重加算税に分けて取り扱いの指針が示された。この取り扱いの具体的内容を分析した。
税務行政監察報告書で求められる税務執行上の問題点見直しの視点−推計計算における計算方法の改善 平成13年2月 雑誌「税理」Vol44 N2.O 平成12年11月に公表された総務庁の「税務行政監察報告書」について、推計課税上の諸問題を指摘し、改善方を論究した。特に、所得の計算上の経費率や所得率を積算するときの標本となる納税者が申告した資料の内、著しく標準偏差値の大きい資料を除外して標準率を計算している実態が明らかとなった。その結果、税務上の標準率、特に所得が少なくなる指標を意図的に除外したことを意味し、常に標準以上でないとすべて強制的に課税標準が調査の対象となり、是正の的となる。このことは自主申告を尊重する制度上問題がある点を指摘、その改善方法を求めた。
税務調査に時点で、帳簿を不提示の場合、所得税と消費税の取り扱いについて 平成14年3月1日 雑誌「速報税理」 採決事例の検討 税務調査において、税法上法定されている「会計帳簿」を作成保有しているが提示をしなかった場合、所得税では推計課税を受け相当の所得計算がされるが、消費税では、売上げにかかる消費税から控除される消費税(仕入消費税)は控除できないこととなる。このような事例を紹介し、このような規定が相当か否かについて検討をした。
役員退職金の現物支給 平成14年5月1日 雑誌「税理」
VOL.45 NO.5
役員退職金を現金に代えて支給(現物給与)する場合に生ずる問題点を検討した。現物とは何か、その評価、支給時点の会計的認識と税務処理との問題点を指摘し整理した。
書面添付制度不服申立てへの移行とその判断 平成14年8月1日 雑誌「税理」
VOL.45 NO.9
平成14年4月より施行された税理士の書面添付制度(税理士法第35条)について、@納税者と税理士・税務署の関係はどうなるか、A添付をした関与先に税務調査が入り、税務署より指摘をうけ、不正偽りがありとして更正決定を受け争いを起こすべきか否かの判断について、B書面添付制度の書面と公認会計士の監査調書との異同等について検討をした。
税務証拠論序説 平成15年5月10日 税法学
第549号
税務訴訟は行政事件訴訟法の手続きに下で処理をされるが、具体的訴訟の手続きは、民事訴訟法に依拠している。一方、税務訴訟では、課税庁の勝訴が異常に多い、そこに民事訴訟法の証拠論が正しく機能しているかどうか検討をするための、基礎的証拠論を整理した。
−租税法律主義から消費税の検証−「課税売上高」の問題点 平成15年11月30日 日本租税理論学会研究報告 わが国の租税制度について、各方面方検証して、その問題点を検証する。特に、消費税法について、法学的見地から、その問題点を検証、法令的解釈の齟齬を、法令、判例、実務から検証し報告した。
税務訴訟と税理士の役割 平成16年5月 税法学
第551号
税理士の税務訴訟法上の役割と課題について税理士法改正の経過と税務争訟上の各種の問題点を指摘した。
税務訴訟をめぐる諸問題 平成16年6月12日〜13日 日本税法学会94回大会 税理士の税務訴訟法上の役割と課題について税理士法改正の経過と税務争訟上の各種の問題点を指摘した。
地方目的税の課題 平成17年9月 第5回日中経済学術会議 名古屋市立大学,Discussion Papers in Economics No.429
中国社会科学院地方分権が叫ばれているが財政的手当のない分権(権限委譲)は、空論に近い。そこで現行税制をふまえて、地方に財政の財源を求めるには、目的税の活用が可能となる。この地方目的税の法的根拠、課題等を検証した。
最近における同族会社の行為計算否認規定の行使傾向 平成18年4月 雑誌「税理」VOL.49.NO.6 同族会社の行為計算否認規定が拡大解釈され、すべての法人個人・相続税等に拡大解釈され、適用の範囲を広げている。このような状況で、具体的に発生した判例裁決例から検証した。
源泉徴収を巡る諸問題」−納税義務者と納税者及び負担者の関係を再考― 平成19年11月 税法学
税法学558号
源泉徴収には、支払者、受給者、国の三者が関係者として存在しているが、それぞれの関係が、法的に規程が整備されていなために、多くの問題が生じている。これらの関係者の問題点を洗い直して、新行政事件訴訟法に於いて、処理が解決できるかについて、論考を試みたが、行政事件としての事例が少なく、多くの論者が消極的に解している点を指摘した。
国税通則法改正について 平成20年11月 税法学会 中部地区研究会 行政不服審査法の改正に伴い国税通則法外改正され、租税争訟の前置制度である「異議申立制度」と「不服審査制度」が大幅に改正される。この点について解説し、その問題点を指摘した。 行政不服審査制度は、国民の権利救済と行政の適法性確保の2大目的が充分機能していない点を改正、より国民が利用し安すい制度とすることとなった。一方、税務行政の異議申立と不服審査制度は同様に国民の権利救済に於いて機能不全を起こしている点を改正することとなったが、行政不服審査法に比較して大幅に遅れた制度となる可能性が浮き彫りになった。この点を指摘した。
借用概念についてー最近の判例を通じてー 平成20年11月 税法学
税法学560号
租税上の借用概念が明確になっていないために、納税者の法令解釈上、混乱が起きている。これを2つの判例を基に、課税当局の法令構造を理解しようと試みたが、解釈の前提に、簡便な行政の意思が垣間見られて、法令解釈や日本語の意味がゆがめて解されており、充分その意義を解されない点が、税の現場を混乱させ、国税当局の法令解釈は通達に依拠する点にも問題がある。税法上の不明確な用語が通達による解釈が一般すると、法人税法22条4項の公正妥当な会計処理として裁判所の判断基準となってしまいて点が相当かどうかを指摘した。
TAINSの利用 平成21年1月 TAINSたより 1.Tainsが構築された時期、2.TAINSの教育での活用、3.判例から教わる事実、4.TAINSに期待するもののこうであったが、特にTAINSから教わる時事の欄では、判例から法令解釈がなされた法人税法34条の「役員給与」の創設意義についてふれた。行政が実務の実態を無視し、簡便主義を取り入れたために、現在も混乱が生きている「役員給与」への疑問を指摘した。
差額関税のほ脱に対する罰金刑事件 判例研究 平成21年10月 税法学会 中部地区研究会 @ 東京地裁平成17年12月28日、A東京地裁平成17年12月22日判決 について、判例を紹介し、その問題点を指摘した。@差額関税と課税の意義と必要性、A間接税の重加算税制度の意義と制裁、B二重課罰と間接税(国庫説と責任説)
資力喪失状態の立証論 平成22年2月 愛知大学経営総合科学研究所 経営総合科学第93号 2010.2 親族間で資金等を提供したときに、贈与の意志(民法550条)が無い場合でも、経済的利益の供与と見なされると「みなし贈与」(相税法7条、8条、9条)の課税関係が生ずる。しかし、その経済的供与の相手方(受贈者)が資力を喪失しているときに、みなし課税されると、贈与者が相税法34条(連帯納税義務)により、その贈与税を負担することとなり、課税の相当性が問題となる。そこで、みなし贈与の課税は、資力を喪失した者には課税をしない(非課税)とする制度がある(同7,8,9条)。ところで、この資力喪失状態の判定基準が法定されていないので、この基準となる「喪失状態」とは、どのような状態を言うかについて、分析整理した。

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